梁井顧問連載コラム:熟成古酒の魅力(連載中)

第8回:My古酒の楽しみ方(1)

長期熟成酒研究会顧問 梁井宏

長期熟成酒研究会 梁井顧問

長期熟成酒研究会
梁井顧問

Ⅴ、My古酒

私たちは、蔵元が出荷する時点で満3年以上熟成させた酒を、熟成古酒と称しています(国が定める特定名称酒ではありません)が、この熟成古酒もっと自由に楽しんでいただこうというものです。

1 Myブレンド

熟成古酒の問題点は日常的に飲むのには価格が高いことです。

その理由は

  • 設備の余裕

日本酒を三年以上も熟成させるためには、それだけの設備(4年分の酒を貯蔵することができるタンク)が必要。

  • 資金の余裕

搾りたてなどは、搾ったらそのまま売れるので資金繰りは非常に楽ですが、それを三年以上も寝かせることになりますから、それだけの資金に余裕がないとできません。

  • リスク

熟成古酒が商品として世に出たのは、戦後の貧しさから立ち直り、日本人が豊かな生活を実感し始めた昭和40年ころですから、その歴史はせいぜい50年にしかなりません(歴史的には鎌倉時代から存在し、江戸時代には庶民にも珍重されたという記録はたくさん残っていますが、明治時代の苛酷な税制に耐え切れず、一旦は消えてしまいました)。そのために造り方のノウハウがなく、最初は手探り状態で始めました。早くから取り組んだ蔵元では研究が進み、その蔵ならではの特長ある酒造りから、すでにブランドを確立していますが、まだ日の浅い蔵元では3年先、5年先の酒質を見越して熟成を始めた酒が、思い通りの酒になってくれるのか、その時代の消費者の嗜好にマッチするのか、消費はどれくらいの量を見込めるのか、などというリスクを覚悟しなければなりません。

このように、何年も熟成をさせる酒ならでの難しい問題があるので、大量生産ができず、コストも余分にかかることから、それだけ高くなることはやむをえないといわざるを得ないのです。

そこでお勧めするのがMyブレンドの熟成古酒です。