< 特別寄稿>
「熟成は旨さの芸術」
世界中のお酒を見ると、熟成をすごく大事にしている、そして熟成をすることによって素晴らしく美味しいお酒の世界があり、その過程の話がそのお酒をより美味しく、価値のあるものにしています。
ふり返って、わが国の清酒を見た時、熟成と言う概念はどうなのだろうか。
< 特別寄稿>
「私と熟成古酒との出会い」
懐かしい思い出です。昭和41年から約3年間、当時の国税庁醸造試験所へ研修生としてお世話になりました。研究室は第三研究室。室長は大塚謙一先生。吉澤淑先生もバリバリの若手で、主任研究員として張り切っておられた時代でした。第三研究室はいわゆる洋酒の研究室で、ワイン、ウィスキー、ブランデー、ビールなどが研究材料でありました。毎年秋になると、何種類ものブドウでワインを仕込みました。長靴を履き、はぎれ桶の中で、ブドウを踏みつぶしたこと、鮮明に覚えております。当時導入されたばかりのガスクロマトグラフィーを使って、新鮮なブドウ果汁と出来上がったワインの香気成分の変化を分析するのが、私の役目でした。熟成年度の違うヘネシーやクルボアジェを分析して、コニャックの成分の違いも研究いたしました。
< 特別寄稿>
「初孫の長期熟成酒への取組み」
全国の蔵元に先駆けわが社が長期熟成酒に取り組みはじめたのは昭和40年代の前半のこと、そのきっかけとなったのは吟醸の熟成酒となります。その頃の吟醸酒といえば、試験的に吟醸酒の醸造にトライしても、その酒が売れる市場のない時代でした。今でこそ日本酒ファンなら誰もが飲んだことのある吟醸酒ですが、当時はそんな酒があることさえ知られておらず、せっかく良い酒を造っても売れなかったわけです。ところが幸いなことに、わが社には煉瓦に囲まれた特製の冷蔵庫がありました。すでに吟醸酒の価値の高さに気づいていた製造責任者より、「デキの良い酒はとりあえず冷蔵庫にぶち込んでおけ」とのことになりました。